大きな努力で小さな成果を

2023.06.09

書籍・映画/志波大輔

先輩から素敵な本を贈っていただきました!
イエローハット創業者 鍵山秀三郎さんの書籍「大きな努力で小さな成果を」です。

手に取った瞬間、タイトルからいきなり「!?」でした。
普通だったら「小さな努力で大きな成果を」出したい!と思うのに、そこには真逆なことが書いてあるんです。しかし読み進めていくと、日々の小さなこと、例えば身の回りの整理整頓など、には目もくれず、何か大きなチャンスがありそうに見える虚像ばかりを追いかけていないだろうか?そんな自問自答を繰り返す内容でした。

できそうにない大きなことばかりを追いかけるよりも、
目の前の小さなことを少しずつでも積み重ねていけば、
とてつもなく大きな力になります。

表紙の見返しにこう書かれてあります。
まさにその通りだと思います。ですがその積み重ね、日々地道に継続していくことがどれほど難しいかを私たちは知っています。だから少しでも小さな力で大きな成功を収めたい、そう思ってしまうし、甘い誘いにも簡単に乗っかってしまいます。そして大損したりするんです、、、

少し学生時代の頃を思い出してみてください。
テスト前だけに覚えた付け焼き刃の知識は、肝心の受験の際には残っておらず、必死に勉強し直したけれども時間が足らず志望校へ届かなかった、という苦いご経験をお持ちの方も少なくないのではないでしょうか。
まさにこれと同じことを、大人になった今でも続けている人が多いんだと思います。

僕自身の学生時代はどうだったかなぁと振り返ると、中学時代に大きな努力をしたことを思い出しました。
それは勉強に対しての取り組みです。
好きだった女の子を振り向かせたいがために勉強を頑張るようになり、少しずつ成果が出始めると楽しくなり、テストでもっと良い点を取りたいと思うようになりました。そのためにはどうしたらいいのか?子供ながらに必死に考え辿り着いたのは下記の5点です。

1.日々のノートを丁寧に書くこと
2.家に帰ったら学校のノートをさらに自分なりにまとめ直すこと
3.テスト勉強はテスト範囲が発表されるさらに1週間前から始めること
4.勉強する科目を1日2科目にしぼりスケジュールを立てること
5.ワークの反復学習を行うこと

毎日クラブ活動もしながら、これだけのことをやっていたなんて、今思うとえげつないですが、成績はメキメキとあがり、志望校へ合格できました。おそらく僕にとっての最初の成功体験だと思います。
さすがに一科目ごとの細かい内容まではもう記憶に残っていませんが、努力する力、継続する力は間違いなく今仕事をする上で大きく大きく役立っています。問題の好きだった女の子に振り向いてもらえたかと言うと、、、惨敗でした。大きな努力で成果無しです(笑)

少し話がそれましたが、今の自分は100点目指して、日々涙ぐましい努力を積み上げているのか?ということです。便利な世の中になることは大いに結構ですが、その分努力することが減っているように感じます。
そこに甘んじるのではなく、今の時代に即した努力の仕方が必要ですね。

さて、本題に戻り書籍の中で心に響いた、鍵山さんの大きな努力を3つご紹介させてください。

(1)これでもか、これでもかと手をかける
鍵山さんが経営者として重視してきたことは、とにかく手抜きをしないことだそうです。例えば展示している商品も順番におろしてホコリを払い、また元に戻すような徹底ぶりで、人の手を加えると輝いて見えるといいます。人の手はそういう不思議な力を持っているとおっしゃっています。
僕の自慢ですが、うちのスタッフはいつもこれでもかと丁寧な仕事をしてくれています。
納得いくデザインができるまで徹底的に手を動かしてくれたり、1mm刻みでレイアウトを調整してくれたり、サンプルを丁寧につくってくれたり、誤字脱字をしっかりチェックしてくれたりします。そういう仕事をしてくれるのは本当にありがたいです。
きっとそんな彼らのおかげで、デザインが輝いて見えてくるんだと思います。

(2)掃除で心を磨く
鍵山さんといえば、やはりトイレ掃除。
その活動から「日本を美しくする会」が発足し、鍵山さんの在り方に賛同する方々が、全国の学校トイレなどその地域の清掃活動に従事し、文字通り美しい国づくりの実現に向けて活動をされています。
僕も母校の中学や、神社などの清掃に何度か参加させていただきましたが、道具の使い方から後片付けまで、終始学びっぱなしでした。
創業当時の荒くれた従業員を穏やかにするには、はたらく環境を良くするしかないと、社長自らがトイレをはじめとした職場環境の整備に取り組まれたのがきっかけだそうです。「いつも見ているものに心が似ていく」という言葉は僕の胸に大きく刺さりました。僕たちも「うつくしいものをつくる」ことを理念に活動していますので、皆さんの心をうつくしくする一助になればと思います。
社員が、学生がどんどん変化していったというお話しに、掃除の大切さを改めて強く感じました。
弊社でも微力ながら、日々事務所周辺の清掃もさせていただいてます。

(3)得にならないことをいかにやるか
困難を乗り越えていくには人間力を高めることが大切であり、そのためには「自分にとって得にならないこと」をいかにやるか。自分にとって都合がいいこと、楽なこと、益のあることだけをやっていては、器の小さな人間になる、と書かれてあります。
これも僕の胸にグサグサと刺さりました。
振り返ると、この人といれば得か損か、そんな側面から判断してしまっていた自分が恥ずかしいです。
現代の日本人には善悪が置き去りで、判断基準が損か得か、好きか嫌いかになっていることへ警鐘を鳴らす箇所がありましたが、自身を顧みて深く反省しました。

他にも勉強になるお話が多くご紹介しきれませんが、とにかく最初から最後まで、学びの多い一冊でした。
是非ともご一読ください。