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二宮金次郎と報徳

こんにちは、志波です。
4月になり世間は新年度、桜もようやく咲き始め気持ちの良い季節になりました。
私ごとですが娘も今日でちょうど1歳を迎え、1年前出産をソワソワしながら待っていたことを懐かしく思います。

さて、今日は二宮金次郎から学んだことを少しお話したいと思います。
数年前に映画「二宮金次郎」とご縁があったのをきっかけに、師の1人として彼の生き方や在り方から学ばせてもらっており、先日も金次郎の7代目子孫であられる中桐 万里子さんの講演を聞かせてもらいました。

二宮金次郎といえば、薪を背負いながら本を読む少年の像が有名ですが、実際何をした人なのか良く知らない方も多いのではないでしょうか?(僕も知りませんでした)
かいつまんでご説明すると、以下のような感じです。

“実家再興に成功したことをきっかけに小田原藩士服部家に財政の建て直しを頼まれ、これも見事成功させます。それが広まり小田原藩の分家にあたる桜町領(栃木県二宮町)の再興を頼まれたことから、生涯になんと615の村々を立て直しました。
そんな金次郎の生き方に渋沢栄一や松下幸之助も大きく影響を受けたようです。”

金次郎にまつわるお話は多々ありますが、僕が今日お伝えしたいのは、中桐さんが講演の中でお話してくださった「報徳」についてです。

昨今、ビジョンやパーパスなど、企業として社会に対して大きなことを掲げることがトレンドですね。
金次郎は当時、数多もの村を立て直す中でどんなビジョンを掲げていたのか気になりませんか?
どうやってこのような偉業を成し遂げたのか?

講演の中で中桐さんはおっしゃいました。

金次郎は大きなビジョンを掲げていたわけではありませんでした。
ただただ、自分を大役に抜擢してくれた藩主のために尽力しているだけだ、と。

”受けた徳や恩義に報いる”
これが金次郎の「報徳」という考え方だと教えてくださいました。

もちろん国として、藩として、目指すべきものはあったでしょう。
しかし金次郎を突き動かしたのはビジョンではなく、自分を抜擢してくれた人のためにという想いだったのです。

ビジョン浸透のためにインナーブランディングを!と言われますが、恩を感じる力、感謝できる心を鍛えることがまずもって大切なことではないでしょうか。何もかもが満たされた現在において「有難い」と思うことは容易ではありませんが、絶対に失ってはいけない気持ちですね。

まだ何者でもない僕に「あんたは世界で活躍する男や!」と言ってくださる偉大な経営者の先輩がいらっしゃいます。
自分は大丈夫だろうか?と不安になる時、いつも勇気づけてくれるこの言葉を真実にすることが、僕にとっての報徳です。

ファインミネラル

こんにちは、志波です。

先日2/25で、38歳になりました。

そんな38歳ほやほやの志波は、ちょっと前にBRUTUSの鉱物特集を見つけてから鉱物にハマっておりまして、、、 それぞれ固有の規則性をもつ結晶と、環境という不確定な要素が織りなす造形はまさに神のデザイン。
独自の色も相まって、うつくしいな〜とうっとりしちゃいます。
ちなみに、鉱物標本の中でも、特に造形的に美しくクオリティの高い標本のことを「ファインミネラル」と呼ぶそうです。

特に印象的だったのがローザサイトという鉱物。
鉱物といえばトゲトゲしいイメージですが、これはまったく違って今にも動き出しそうな煙のよう。
銀河のようにも見えますね。生で見てみたいな〜。

そんな僕のために、今村と土屋が誕生日プレゼントとして鉱物のおしゃれな本をプレゼントしてくれました。
癖の塊のような本ですが、魂を感じる1冊です。
これでオフィスのおしゃれ化もまた一歩前進前進。
わざわざ本を包む紙まで鉱物モチーフでデザインしてくれちゃってます。
「SHIBA」の文字が隠れているようなので是非探してみてくださいね。
ありがたや。

これから自分自身が、家族や仲間、関わってくださるすべての方とその環境の中で、どんな成長をしていくのかとても楽しみです。
楽しいことも嬉しいことも辛いことも悲しいことも、全部ひっくるめた「ファインミネラル」になれるといいな。

めんどくさいことを大切に

こんばんは、志波です。

今日は少し昔を振り返って、2021年6月に平和紙業さんのペーパーボイスギャラリーにて開催した弊社の個展「THE PAPER PLAYING」に関するお話をさせていただきます。

この展示会は、弊社設立5周年の節目として、これまでの振返りとさらなる挑戦に向けて開催しました。

何を展示しようかとても悩んだのですが、紙屋さんのギャラリーであったのと、今年もそうですが毎年様々な加工や紙を駆使して年賀状をデザインしていたので、それらを軸として展示を構成することに決めました。

紙であそぶ、紙と楽しむというタイトルのもと、「紙で表現できることってなんだろう」という視点から、切ったり、ちぎったり、折ったり、丸めたり、いわば大人の自由研究といったところでしょうか。

展示する作品はもちろんですが、空間にこだわりたかったんです。
ただ作品を見てもらうだけではつまらない、コロナ禍で沈んだ世の中に少しでも感動を届けたい、そんな想いから紙のインスタレーションを考案し、およそ3500枚の紙で壁一面を包み込みました。
現場で作業できるのが実質7時間程度しかなかったので、事前準備も当日もかなり大変でしたが、紙の壁でつくられた空間は想像以上に特異なものでした。

昨今、多方面で「効率」が重視されがちですが、デザインは違うと思うんです。
独立する前にnendoの佐藤オオキ氏のもとで働いていましたが、彼らのデザインや展示はどれも変態的な「めんどくさい」の塊。そこにはエネルギーがあり、感動が生まれることを体感しました。だから自分もデザインをするときはそのことを大切にしています。

日頃行っているブランドをつくることも「めんどくさい」ことを丁寧にするから、正しく伝わるのだと思います。
これからAI生成もパワーアップしてくると思いますが、大切なのはうまく使うことだと思います。 テクノロジーと人しかできないことを組み合わせて、これからも「うつくしいもの」をつくり続けます。

THE PAPER PLAYING https://merrybeetle.jp/works/the-paper-playing/

技術力と幸福度のパラドックス(2)

こんばんは、志波です。


先週に続き、技術力と幸福力の関係についてお話したいと思います。
前回は今までの習慣を「捨てられない」ことが、働く環境が良くならない原因のひとつであるとお話しました。

さて、海外に目を向けてみると、ものすごく「捨てる」のがうまい企業があるのをご存知でしょうか。 おそらく大勢の方がお世話になっているアップル社です。

アップル社製品の成長と、捨てることが非常に大きな関係性を持っていると僕は思っています。
例えばiPhone。
まず最初に捨てたのは携帯電話のボタンです。タッチパネルという概念で置き換えられ、 最初はドギマギしたものの、今では当たり前のように市民権を得ています。
指紋認証からカメラを活用した顔認証に技術が進歩することで、唯一残っていた丸いボタンもなくなりました。
さらに細かいところで言うと、充電するための端子の形状もどんどん変化していってますよね。
(これがユーザーとしては結構困りごとではありますが、、笑)

皆さんは馴染みがないかもしれませんが、デザイナーがよく使うデスクトップのiMac。 これもたくさん捨てられてきました。
一番驚いたのはCDドライブがなくなったことでした。
以前は音楽を聴くため、データを読み込むため、いろんなシーンで使用していましたが、 アップル社は、このCDが将来使われなくなることを見越して捨てたのです。
実際、音楽はダウンロードするようになりましたし、データもオンライン上でやりとりされるようになり、 CDドライブが無くなったことで困ることはほぼありません。

このような「捨てる」姿勢が、アップル社を大きく成長させた要因のひとつだと僕は考えます。

ということで話を1回目に戻しますが、僕はこの技術力の革新の恩恵を、
一緒に働く仲間の生活の豊かさに還元したいと思い
働き方の古い習慣を捨てようと画策しています。

何を捨てるのかというと、週休2日という概念です。
完全でなくても週休3日を導入することをひとつのゴールに据えています。

先週お話ししたように、5日かかっていたことが4日で終わるのならば、単純に1日休めます。
だったらしっかり休んで、生産性高く仕事しようよ!というのが僕の思いです。
ですがいきなり週休3日となると、やはり不安や不具合も当然生じるでしょう。
なので、まずは有給を全部消化することで、休みを取ることに耐性を作ろうとしています。
そもそも休みにくいという習慣が悪きものですよね。
これにはスタッフもそうですが、経営者の思考も当然変えなければなりません
だって給与払ってるんだからいっぱい働いてもらわないと困るよ!というのが正直なところですから、、、
少し時間はかかるでしょうし、もしかしたら間違いだったとなるかもしれませんが、
変化をチャレンジすることに価値があると思っています。

何を残し、何を捨てるのか、この見極めは経験がモノをいうと思います
そのためには沢山チャレンジして、失敗は小さく済ませることが大切ですね。

技術力と幸福力が同じ成長曲線を描く未来になりますように。

技術力と幸福力のパラドックス(1)

こんにちは、志波です。

ここ最近ずーっと気になってることがあります。
それは、私たちがより幸せに、より豊かになるようにと技術力がぐんぐんと向上してきたのであれば、私たちの幸福度も同じような成長曲線を描くべきじゃないのか?ということです。
この裏にはそれを体感してないという実感があり、なんなら技術力が低かった時代よりも忙しく(時間的うんぬんというより、文字通り心を亡くしているという意味)しているんじゃないかとすら感じます。

デザイナーが仕事をする上で大きく影響を 与えたもののひとつが通信手段の変化です。
電話からメール、さらにタイムリーにやりとりができるチャット、そして遠く離れた人との打ち合わせがオンラインでできるまでに発展。データのやりとりで言えば、フロッピーやディスクに焼いて、郵送または直接届けるという手法から、オンライン上のサーバーにアップして共有するという手法へ。 以前であればいつでもデータを届けられるように、大手広告代理店のすぐ近くに事務所を構えるというのが当たり前でしたが、今ではそれはさほど拠点を構える上での重要事項にはなりえません。実際弊社もそういうエリアからは程遠い大阪堺という地でお仕事をさせてもらっています。
メールでは会話のキャッチボールが遅かったものが、チャットの登場でかなりの時短に。オンラインでの会議がこのコロナ禍で当たり前となり、移動時間という概念がなくなりつつあります。

とにかくここ数年で格段に便利になったことは言うまでもありません。
しかし、便利さによって私たちは果たして本当の豊かさを得ているのでしょうか?
例えば以前は5日かかっていた仕事が、技術力の革新によって4日で済んだとしましょう。そしたら今までとは違って1日分の時間が残ってるはずですよね?であれば、この1日を家族との時間や趣味の時間を充実させて、しっかりリフレッシュして仕事に打ち込んで生産性を上げる、というのが理想な状態だと考えます。
ですが残念ながら多くの場合そうではなく、タイムリーにピコピコと鳴るスマホに動かされ、結局メリハリの無い働き方をしているのではないでしょうか。

では、なぜこのような状況に陥るのか、それは「捨てられない」ことが原因のひとつだと僕は思っています。
何を捨てられないかというと、以前からの習慣です。
人は動物ですから、身の安全を確保することを最重要事項において生きています。今まで5日働いてきた中に突然1日のゆとりが生まれ、働くのをやめることに不安を感じます。さらに日本人は勤勉ですから、1日ゆとりができたなら、さらに仕事を入れようとしてしまいます。その結果、私たちは以前からの働く習慣から抜け出せずにいるのです。
海外に同様の文化があるのか知りませんが、日本ではわざわざ「断捨離」という言葉を使って、モノを整理しますよね。それくらい「捨てる」ということは難しいことが伺えます。
とりあえず保留にしていること、多々ありませんか?(僕は多々あります笑)

この続きは次週に。

読んでいただき、ありがとうございました。

アレの季節になりました

こんばんは、志波です。

そろそろアレの季節になりましたね。
アレですよ、アレ。
そう年賀状を考える季節です。

これが結構脳ミソを占領しちゃうんで、毎年アイディア出しに苦労しちゃいます。
ということで、今日は脳ミソをフル稼働させて生み出した力作の年賀状たちをダイジェストでご披露したいと思います。
気になった方は、是非詳細ページをご覧くださいませ。

SDGsなどを理由に、年始の挨拶をやめますというお話を耳にしますが、年に一度くらい、お世話になってる方に思いを馳せて一言添える時間があってもいいんじゃないでしょうか。

 

2017年
酉年ということで、「キリトリ(切鳥)」をテーマに作成しました。
ミシンめに沿って年賀状を切り取り、並べ替えるとニワトリに変身!
お金がなかったので、ミシン目を手で加工したのは良き思い出です。

KIRI-TORI

 

2018年
お正月の書き初めから着想し、書道を練習する「水筆紙」を仕様しました。
水をかけたら、あらビックリ、2018の文字が登場!

MIZU

 

2019年
おそらく箔にハマってた時期に考案。
既存の技術を使った新しい表現を目指した、技術屋さん泣かせの名作。
今までで一番コストがかかったと思います。

SEEDS

 

2020年
ウーペという起毛紙の熱可塑性を利用した年賀状です。
一見何もないように見える紙面を傾きを変えることで、、、
ストイックなデザインに仕上がりました。

WAVE

 

2021年
コロナで世の中が辛い時期、少しでもハッピーになるようにと
土屋の可愛いイラストを入れてみました。
熱で反応するインクを使用した年賀状です。

GREETING 2021

 

 

2022年
、、、多忙を言い訳にパスした1年でした。

 

 

2023年
前年に印象的だったお仕事をモチーフにデザイン。
パール紙など複数のテストを経て、一番表情が面白かった、
見る角度で様々な色彩が現れるホログラム紙を利用した年賀状。
タイポグラフィに今村の個性が炸裂しています。

GREETING 2023

 

 

さて、
2024年はどんなものに仕上がるのか!?
どうぞお楽しみに!

なんかいいな

こんにちは、志波です。

僕はなぜかこの二人の後ろ姿とても愛おしく、なんかいいな〜って思ったんです。
明確な理由とか、はっきり言語化できるわけじゃないんですが、なんかいいんです。
たぶんスーツ着て、オフィス街で、パリっと仕事をしているような会社では考えられないシーンだと思いますが、この自然体な感じがとても好きなんです。

特に土屋さん。
しっかり地面に座っちゃってます。
この後車に乗るにも関わらずお尻汚しちゃってますよ。
けど、これも彼女っぽくてすごくいいんです。

この写真は数年前に会社で薫製にチャレンジしたときのワンシーン。
やっぱり地面に座っちゃってます。しかも三角座りで。
すごくいいですね〜。

ちなみに薫製は燻しすぎて酸っぱかった記憶があります。
またやりたいなぁ薫製。

外でちょっと気持ちの良い風を浴びながら、美味しいご飯とお酒が飲めるのが幸せです。
日頃仕事する中で、このデザインはこんなコンセプトがあって〜とか、こんなプロセスで〜とか、理屈めいていろいろ語っちゃいますが、結局「なんかいいな」には勝てません。
理路整然と構築することも、もちろん大切ですが、こういう感覚的な部分は何よりも大事だと思いますね。

今日で9月が終わり、明日から10月。
ちょっと秋めいてくる日々に、「なんかいいな」とたくさん出会えますように。

「カルチャー」を経営のど真ん中に据える

こんにちは、志波です。

今日は最近読んだ面白い書籍をご紹介します。
以前近畿経済産業局主催のデザ経2023でご一緒させてもらったSASIさん主催の読書会に参加させてもらった際、テーマとなった1冊です。
ブランディングの要となる、現場における意識改革と現場力UPのヒントもたくさんありましたので、企業規模感関係なく学びが多いように感じます。

「カルチャー」を経営のど真ん中に据える
著者:遠藤 功

冒頭、日本企業に不祥事や不正が続いていると始まり、その原因が劣化した「カルチャー」にあるといいます。
「カルチャー=組織風土+組織文化」と表現され、一見混同しがちな風土と文化を明確に定義してくれて、とてもわかりやすい。

風土とは、土地の気候・地形などの自然環境であり、環境こそがその上に生きる人の有り様を規定します。
組織においてはリーダーシップ・社内規定・コミュニケーション方法等により作られていき、「良い」「悪い」と評価されます。

例えば良い風土とは、風通しが良い・前向き・主体性・挑戦的・楽観的・協力的・開放的というように表されるのに対し、悪い風土は風通しが悪い・後向き・受動的・消極的・悲観的・非協力的・閉鎖的となります。
そしてこれらの組織風土を作るベースは経営者やリーダー層にあり、心理的基盤となります。

対して文化とは、特定の集団の中で共有されている信条、価値観、行動であり、それらは往々にして環境の影響を大きく受けます。例えば日本の文化は島国、四季があるという環境の影響を受けて醸成されてきたように。
なお、組織文化は「強い」「弱い」と評価され、強い文化を作るためには以下3つのポイントがあるようです。

①深さ(=他社が追いつけない、圧倒的なレベルの「深さ」を追求すること)
②成功体験(=社員にとって「信じる理由」となり、自らの実行、実践に結びつくよう成功体験を積み重ねること)
③アイデンティティ(=帰属意識や仲間意識を育み、社員たちの潜在能力を引き出すこと)

僕なりに整理をするならば、
組織風土とは経営者やリーダー層の在り方・立ち居振る舞い
組織文化とはアイデンティティに基づいた成功体験の積み重ね
といった感じでしょうか。

つまりカルチャーが劣化しているのであれば、経営者があり方を正し、新たな成功体験を積み上げていく必要があるということになります。

ちなみに組織風土が劣化している組織の特徴は以下の通りで、結果、ファイティングポーズをとらない(とれない)弱い組織になってしまいます。

①上からの一方的な指示や通達ばかり
②下から上にものが言えない、言わない
③横の連携が悪く、無関心、あきらめ感が蔓延
④ミドルが疲弊しチャレンジしない、できない
⑤自責ではなく他責にする傾向が強い
⑥組織全体にやる気が感じられず、活力に乏しい

さて、皆さんの組織はどうでしょうか?
ここから本書では具体的な企業事例を挙げながら、弱くなった組織をどう立て直していくかのヒントが沢山書かれていますので、続きは是非ご自身でご覧になってください。

ここからは僕の感想です。
書籍の中には、正直これって当たり前のことだなぁと思う点も多々ありました。
ですが全部実行できているかというと、、、
知っていると実行しているの間にはすごい壁がありますね。

そしてもうひとつ。
誰が実行するのか?
会社を変える良いヒントを得ても、それを経営者自らが行わず、従業員だけに行動を促している様子をよく見かけますが、それでは何も変わりません。
組織風土となる経営者自らが変わらないと、どんな良い文化だってすぐ枯れてしまいます。「社長は口ばっかり」とつぶやかれているような組織がどうやって成長できるんでしょうか?

仲間を奮い立たせるにはまずトップから!

自分にも強く言い聞かせた一冊でした。

ちょっとゆるめに生きてみます

僕の座右の銘は「一笑懸命」です。
ここに至る背景を今日はお話したいと思いますので、よかったらお付き合いください。

僕は昔から妥協することができなくて、何事も自分の限界まで挑戦してしまうタイプの人間です。
友達のお母さんたちからも「志波くんはしっかりしている」という太鼓判をもらうような幼少期でした。
宿題や提出物は基本的に欠かさず提出するし、自分で言うのもアレなんですが、成績も良い、真面目、優等生という言葉がぴったりだったと思います。
今思うと叱られない、怒られないためにまじめキャラを演じてたように思います。

自分の信念をはっきりと意識したのは高校生、部活で使うベルトの裏に「一生懸命」と書いた時でした。
とにかく与えられたことは完璧にこなしたし、テスト勉強などにも抜かりがありませんでした。
野球でも小学生の頃は三振王と呼ばれた少年が、高校でキャプテンを任されるくらいに成長できたので、文字通り一生懸命生きてきたと思います。
その後大学へ進み、専門学校へ進み、デザイナーとして働き、独立起業し、30年余りの「一生懸命」ライフを過ごしてきました。

良い学校へ進学し、大企業と呼ばれるような会社に入社することが最善であり正しいことだと教えられ、それが正しいものだと生きていました。
なので枠にはまった”こうあるべき”という思考が自分の根底にこびりついているように感じます。
そんな僕の背中を押していた呪縛の言葉が「一生懸命」でした。
一生懸命やれば成功するにちがいない、報われるにちがいないという根拠のないものを信じていたんだと思います。
事実、それで今まで自分が成し遂げたいことはほぼすべて達成してきたので尚更です。

そんなこんなで、とにかくがむしゃらに日々歩んできましたが、1年程前、この生き方が僕の心をすり減らしていることにふと気がつきました。
それはある人との会話の中で、こんな質問をされた時です。

「昨日楽しかったこと、嬉しかったことはなんですか?」

この質問に僕の思考は停止しました。
驚くくらい何一つ楽しかったことが記憶から出てこない、思い出せなかったんです。
かわりに出てくるのは悪かったできごと、出来なかったこと、不満なこと、そんなネガティブな記憶ばかりでした。
僕は一生懸命すぎるあまり、日々を楽しんだり嬉しく思う気持ちを必要以上に押し殺してきたんだと気づきました。余裕や遊びがなくなってたんです。
まさに呪縛。

これは良くない!!
このままじゃ自分がかわいそうだし、周りもハッピーじゃない。

ということで、一生懸命の「生」を「笑」に変えて、懸命な中にもひと笑いあるくらいのバランス感で生きていこうと「一笑懸命」に座右の銘を変えました。
そして毎日身に起こる小さな嬉しいことを喜ぶ癖をつけるようにしました。
本当に小さなことでよくて、例えば自分で作ったカレーがすごく美味しかったとか、駅までの信号が連続で青だったとか、夕焼けが綺麗だったとか、、、
そうすると不思議と嬉しいことが連続してくるんですよね。気持ちもかなり穏やかになったような気がしています。

足りないこと、できてないこと、悲しいことにフォーカスする人生よりも、満たされていること、できていること、嬉しいことにフォーカスできる人生の方がよっぽと幸せですよね。
30年近い思考の癖を変えるには時間がかかるでしょうが、しばらくちょっとゆるめに生きてみます。

(このウェブサイトも近いうちにゆるさを醸し出すと思います笑)

大きな努力で小さな成果を

先輩から素敵な本を贈っていただきました!
イエローハット創業者 鍵山秀三郎さんの書籍「大きな努力で小さな成果を」です。

手に取った瞬間、タイトルからいきなり「!?」でした。
普通だったら「小さな努力で大きな成果を」出したい!と思うのに、そこには真逆なことが書いてあるんです。しかし読み進めていくと、日々の小さなこと、例えば身の回りの整理整頓など、には目もくれず、何か大きなチャンスがありそうに見える虚像ばかりを追いかけていないだろうか?そんな自問自答を繰り返す内容でした。

できそうにない大きなことばかりを追いかけるよりも、
目の前の小さなことを少しずつでも積み重ねていけば、
とてつもなく大きな力になります。

表紙の見返しにこう書かれてあります。
まさにその通りだと思います。ですがその積み重ね、日々地道に継続していくことがどれほど難しいかを私たちは知っています。だから少しでも小さな力で大きな成功を収めたい、そう思ってしまうし、甘い誘いにも簡単に乗っかってしまいます。そして大損したりするんです、、、

少し学生時代の頃を思い出してみてください。
テスト前だけに覚えた付け焼き刃の知識は、肝心の受験の際には残っておらず、必死に勉強し直したけれども時間が足らず志望校へ届かなかった、という苦いご経験をお持ちの方も少なくないのではないでしょうか。
まさにこれと同じことを、大人になった今でも続けている人が多いんだと思います。

僕自身の学生時代はどうだったかなぁと振り返ると、中学時代に大きな努力をしたことを思い出しました。
それは勉強に対しての取り組みです。
好きだった女の子を振り向かせたいがために勉強を頑張るようになり、少しずつ成果が出始めると楽しくなり、テストでもっと良い点を取りたいと思うようになりました。そのためにはどうしたらいいのか?子供ながらに必死に考え辿り着いたのは下記の5点です。

1.日々のノートを丁寧に書くこと
2.家に帰ったら学校のノートをさらに自分なりにまとめ直すこと
3.テスト勉強はテスト範囲が発表されるさらに1週間前から始めること
4.勉強する科目を1日2科目にしぼりスケジュールを立てること
5.ワークの反復学習を行うこと

毎日クラブ活動もしながら、これだけのことをやっていたなんて、今思うとえげつないですが、成績はメキメキとあがり、志望校へ合格できました。おそらく僕にとっての最初の成功体験だと思います。
さすがに一科目ごとの細かい内容まではもう記憶に残っていませんが、努力する力、継続する力は間違いなく今仕事をする上で大きく大きく役立っています。問題の好きだった女の子に振り向いてもらえたかと言うと、、、惨敗でした。大きな努力で成果無しです(笑)

少し話がそれましたが、今の自分は100点目指して、日々涙ぐましい努力を積み上げているのか?ということです。便利な世の中になることは大いに結構ですが、その分努力することが減っているように感じます。
そこに甘んじるのではなく、今の時代に即した努力の仕方が必要ですね。

さて、本題に戻り書籍の中で心に響いた、鍵山さんの大きな努力を3つご紹介させてください。

(1)これでもか、これでもかと手をかける
鍵山さんが経営者として重視してきたことは、とにかく手抜きをしないことだそうです。例えば展示している商品も順番におろしてホコリを払い、また元に戻すような徹底ぶりで、人の手を加えると輝いて見えるといいます。人の手はそういう不思議な力を持っているとおっしゃっています。
僕の自慢ですが、うちのスタッフはいつもこれでもかと丁寧な仕事をしてくれています。
納得いくデザインができるまで徹底的に手を動かしてくれたり、1mm刻みでレイアウトを調整してくれたり、サンプルを丁寧につくってくれたり、誤字脱字をしっかりチェックしてくれたりします。そういう仕事をしてくれるのは本当にありがたいです。
きっとそんな彼らのおかげで、デザインが輝いて見えてくるんだと思います。

(2)掃除で心を磨く
鍵山さんといえば、やはりトイレ掃除。
その活動から「日本を美しくする会」が発足し、鍵山さんの在り方に賛同する方々が、全国の学校トイレなどその地域の清掃活動に従事し、文字通り美しい国づくりの実現に向けて活動をされています。
僕も母校の中学や、神社などの清掃に何度か参加させていただきましたが、道具の使い方から後片付けまで、終始学びっぱなしでした。
創業当時の荒くれた従業員を穏やかにするには、はたらく環境を良くするしかないと、社長自らがトイレをはじめとした職場環境の整備に取り組まれたのがきっかけだそうです。「いつも見ているものに心が似ていく」という言葉は僕の胸に大きく刺さりました。僕たちも「うつくしいものをつくる」ことを理念に活動していますので、皆さんの心をうつくしくする一助になればと思います。
社員が、学生がどんどん変化していったというお話しに、掃除の大切さを改めて強く感じました。
弊社でも微力ながら、日々事務所周辺の清掃もさせていただいてます。

(3)得にならないことをいかにやるか
困難を乗り越えていくには人間力を高めることが大切であり、そのためには「自分にとって得にならないこと」をいかにやるか。自分にとって都合がいいこと、楽なこと、益のあることだけをやっていては、器の小さな人間になる、と書かれてあります。
これも僕の胸にグサグサと刺さりました。
振り返ると、この人といれば得か損か、そんな側面から判断してしまっていた自分が恥ずかしいです。
現代の日本人には善悪が置き去りで、判断基準が損か得か、好きか嫌いかになっていることへ警鐘を鳴らす箇所がありましたが、自身を顧みて深く反省しました。

他にも勉強になるお話が多くご紹介しきれませんが、とにかく最初から最後まで、学びの多い一冊でした。
是非ともご一読ください。

関西デザイン経営推進事業 成果発表

2023年が始まって2ヶ月が過ぎて3月になりました。
日に日に暖かくなり、気持ちも高揚してきますね。

先日、近畿経済産業局が主催する「関西デザイン経営推進事業(以下本事業)成果発表」にて登壇させていただきました。
本事業は、デザイン経営を導入する企業を関西で増やして行こうというもので、本年度で2回目の開催だそうです。株式会社SASIの近藤清人代表が総合プロデューサー兼、クリエイティブディレクターとして運営され、弊社はアートディレクションとデザインの部分で携わらせていただいています。
近藤代表とは大阪デザインセンターさんのセミナーでご縁をいただき、今回の参画に至りました。

このデザイン経営とは2018年に経済産業省・特許庁が「デザイン経営宣言」を公表し、日本の経営スタイルの変革を狙ったものです。

以下その宣言文から概略を引用します。

ーーーーーーーーーーーーーー
日本は人口・労働力の減少局面を迎え、世界のメイン市場としての地位を失った。
さらに、第四次産業革命により、あらゆる産業が新技術の荒波を受け、従来の常識や経験が通用しない大変革を迎えようとしている。
そこで生き残るためには、顧客に真に必要とされる存在に生まれ変わらなければならない。
-中略-
デザインは、企業が大切にしている価値、それを実現しようとする意志を表現する営みである。
それは、個々の製品の外見を好感度の高いものにするだけではない。
顧客が企業と接点を持つあらゆる体験に、その価値や意志を 徹底させ、それが一貫したメッセージとして伝わることで、他の企業では代 替できないと顧客が思うブランド価値が生まれる。
さらに、デザインは、イノベーションを実現する力になる。なぜか。
デザインは、人々が気づかないニーズを掘り起こし、事業にしていく営みでもあるからだ。
供給側の思い込 みを排除し、対象に影響を与えないように観察する。
そうして気づいた潜在的なニーズを、企業の価値と意志に照らし合わせる。誰のために何をしたいのかという原点に立ち返ることで、既存の事業に縛られずに、事業化を構想 できる。
このようなデザインを活用した経営手法を「デザイン経営 」と呼び、それを推進することが研究会からの提言である。

ーーーーーーーーーーーーーー 

デザインと聞くと、おそらく多くの方は、ロゴやウェブサイトを作ったりする狭義の意味で捉えられるかと思いますが、ここでは事業や企業自体をデザインしていく広義の意味で用いられています。
そして、この宣言文ではデザイン経営への入り口には9つあると述べられています。


SASIさんはこの中で「アイデンディティ」を入り口とし独自の「アイデンディティ型デザイン経営」という手法で事業を推進されています。
文字通り、事業の代表者のアイデンディティを紐解き、なぜ事業を行っているのか?(why)、そこからどのような未来を描き(what)、どのように実現するのか(how)を言語化、視覚化、具体化をしていきます。
僕もこれには同感で、他の8個から入るのは非常にハードルが高い(というか答えを導き出しにくい)ように感じます。
また、提言文の最後に「誰のために何をしたいのかという原点に立ち返ることで」とありますが、この原点こそアイデンディティそのものです。

本事業においては、数回に渡るセッションで代表者のアイデンディティを抽出していきました。
一見事業と関係ないのでは?というような幼少期の話などに会話がジャンプしたり、とにかく多角的なアプローチでその「人」を浮き彫りにしていくイメージです。
当然ながらヒアリングする側に非常に高度なテクニックが求められ、常に頭の中で立体的パズルを解いてるような感覚になりました。
我々が取り組んでいるブランディングとの大きな違いは、ここから具体的な商品やサービスの開発(=デザイン経営宣言で言うところのイノベーション)まで行うところです。


上図にあるように、僕はアイデンディティの大きな役割は、未来のありたい姿(=ビジョン)を描くことだと思っています。
この未来と現在とのギャップが「問題」として顕在化し、それを解決するための施策(=コンセプト)、すなわち商品やサービスがビジネスを加速させていく武器となるわけです。
昨今はこの「問題」が枯渇しているので、どの会社もこぞってビジョンやパーパスを策定しているのも合点がいきます。
ですがいきなり、”さぁ、あなたの会社はどんなビジョンを描きますか!?”と言われてもピンとこないと思いますし、仮にビジョンを描いても、それが根っこの部分(=アイデンディティ)とかけ離れていては到底なし得ない、絵に描いた餅になっておしまいです。
だからこそ、このアイデンディティを入り口とした手法に価値があるのではないでしょうか。

今回弊社が伴走させてもらったのは、同じ堺市にある進和建設工業株式会社様でした。
ここでは詳しいことはお話を出せませんが、アイデンディティに則した素晴らしいビジョンと施策の種ができたと思います。

日々の業務に追われる中、「なぜ自分が事業をしているのか?」「どんな未来に向かって走っているのか」などを考える機会は多くないかもしれません。
もうすぐ訪れる春空の下、自身を振り返る機会をつくってみてはいかがでしょうか。

朝起きと直感力

世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?
でも少し触れた、朝起きと直感力についてお話したいと思います。

皆さんは朝起きるとき、自分の意思で「さぁ起きるぞ!」と目覚めますか?ちょっと変な感じに聞こえるかもしれませんが、これは大宇宙の意思(サムシンググレート)から、僕たちへ「起きろ!」という信号が送られて目が覚めているそうです。いわゆる「!」と何か気づいたりするのと原理は同じだと思っています。

ですがこの目覚めのサインに素直に従い、さっと起きている人はどれくらいいるでしょうか?まだ眠たいな〜と二度寝の誘惑に負けていませんか?

実はこれが自分の直感力の鈍化を招いているそうなんです。
(「そうなんです」という表現を使っているのは、僕自身朝起きがマスターできておらず、まだこれが事実であることを体感できていないからなので、ご了承ください(笑))

気付いたらすぐに行動することが成功の秘訣であると言いますが、毎日の目覚めという気付きをダラダラとスルーしているようでは成功から程遠くなってしまうことが安易に想像できると思います。

ちなみに、この朝起きというのは朝早く起きること(早起き)を意味しているわけではありません。中には夜通し仕事で、朝就寝という方もいらっしゃるでしょう。あくまで目覚めた時にサッと起きることを指しています。

僕は今、すこぶる腰の調子が悪く常にぎっくり腰直前の状態で、これも日々の生活の中で、不平不満や苛立つことが多い心の乱れが原因じゃないかと思っています。1年後には健康な身体を手に入れられるよう、この朝起き生活を見につけて朝から軽く運動を行い、心地よい一日のスタートを切るトレーニングしている最中です。

これを書いてて、なんでそんな朝起きしたいの?と疑問に思われそうですが、これは僕にも明確な理由がありません。ただ「探求」することが僕の根源的欲求の一つなんだと思います。
この壁超えたらどうなるんだろう?あの山の先には何があるんだろう?人として成長したらどうなんだろう?そんな興味本位に突き動かされている人間であると同時に、そういう生き方が自分にとって「うつくしい」と判断しているからだと、何となく感じています。
昨今は明確な理由や数値的根拠ばかりが重視されますが、僕はこの自分自身の「何となく」を大事にしようと意識しています。

継続は力なり!
今はうまくいかなくても、いつの日かうまくいくまで諦めないど根性で頑張ります。