「カルチャー」を経営のど真ん中に据える

2023.08.25

書籍・映画/志波大輔

こんにちは、志波です。

今日は最近読んだ面白い書籍をご紹介します。
以前近畿経済産業局主催のデザ経2023でご一緒させてもらったSASIさん主催の読書会に参加させてもらった際、テーマとなった1冊です。
ブランディングの要となる、現場における意識改革と現場力UPのヒントもたくさんありましたので、企業規模感関係なく学びが多いように感じます。

「カルチャー」を経営のど真ん中に据える
著者:遠藤 功

冒頭、日本企業に不祥事や不正が続いていると始まり、その原因が劣化した「カルチャー」にあるといいます。
「カルチャー=組織風土+組織文化」と表現され、一見混同しがちな風土と文化を明確に定義してくれて、とてもわかりやすい。

風土とは、土地の気候・地形などの自然環境であり、環境こそがその上に生きる人の有り様を規定します。
組織においてはリーダーシップ・社内規定・コミュニケーション方法等により作られていき、「良い」「悪い」と評価されます。

例えば良い風土とは、風通しが良い・前向き・主体性・挑戦的・楽観的・協力的・開放的というように表されるのに対し、悪い風土は風通しが悪い・後向き・受動的・消極的・悲観的・非協力的・閉鎖的となります。
そしてこれらの組織風土を作るベースは経営者やリーダー層にあり、心理的基盤となります。

対して文化とは、特定の集団の中で共有されている信条、価値観、行動であり、それらは往々にして環境の影響を大きく受けます。例えば日本の文化は島国、四季があるという環境の影響を受けて醸成されてきたように。
なお、組織文化は「強い」「弱い」と評価され、強い文化を作るためには以下3つのポイントがあるようです。

①深さ(=他社が追いつけない、圧倒的なレベルの「深さ」を追求すること)
②成功体験(=社員にとって「信じる理由」となり、自らの実行、実践に結びつくよう成功体験を積み重ねること)
③アイデンティティ(=帰属意識や仲間意識を育み、社員たちの潜在能力を引き出すこと)

僕なりに整理をするならば、
組織風土とは経営者やリーダー層の在り方・立ち居振る舞い
組織文化とはアイデンティティに基づいた成功体験の積み重ね
といった感じでしょうか。

つまりカルチャーが劣化しているのであれば、経営者があり方を正し、新たな成功体験を積み上げていく必要があるということになります。

ちなみに組織風土が劣化している組織の特徴は以下の通りで、結果、ファイティングポーズをとらない(とれない)弱い組織になってしまいます。

①上からの一方的な指示や通達ばかり
②下から上にものが言えない、言わない
③横の連携が悪く、無関心、あきらめ感が蔓延
④ミドルが疲弊しチャレンジしない、できない
⑤自責ではなく他責にする傾向が強い
⑥組織全体にやる気が感じられず、活力に乏しい

さて、皆さんの組織はどうでしょうか?
ここから本書では具体的な企業事例を挙げながら、弱くなった組織をどう立て直していくかのヒントが沢山書かれていますので、続きは是非ご自身でご覧になってください。

ここからは僕の感想です。
書籍の中には、正直これって当たり前のことだなぁと思う点も多々ありました。
ですが全部実行できているかというと、、、
知っていると実行しているの間にはすごい壁がありますね。

そしてもうひとつ。
誰が実行するのか?
会社を変える良いヒントを得ても、それを経営者自らが行わず、従業員だけに行動を促している様子をよく見かけますが、それでは何も変わりません。
組織風土となる経営者自らが変わらないと、どんな良い文化だってすぐ枯れてしまいます。「社長は口ばっかり」とつぶやかれているような組織がどうやって成長できるんでしょうか?

仲間を奮い立たせるにはまずトップから!

自分にも強く言い聞かせた一冊でした。